サステナブルな旅をしよう! てっぺんテラス 吉村光章さん なぎささん

サステナブルな旅をしよう! てっぺんテラス 吉村光章さん なぎささん

「サステナブル」という言葉を最近よく耳にするようになりました。一般的には「持続可能な」と訳され、もう少し分かりやすく言うと「ずっと続けていけること」となります。
仁淀川流域の6市町村には、1000年続く土佐和紙文化や、植物学者・牧野富太郎博士が愛した山、もちろん仁淀ブルーを満喫するアクティビティなど、他にもたくさんの体験プランがあります。

そのどれもが自然の恩恵をうけて成り立っているものばかりです。そして、そこには長い時間をかけて育まれた文化や自然を守りながら、魅力を伝え、残そうとしている人たちがいます。旅での出会いや体験を通して、持続可能な未来に少しだけ目を向けてみませんか。

標高750m 夫婦の桃源郷は  まだまだ日々進化中

仁淀川町土居の町から林を抜け、森の中をくねくねと車で20分程進んだ先に突如現れるコテージとガーデン。風が吹きぬけ、眼下には雲海を望むまさに桃源郷のような場所です。「いらっしゃい」と朗らかな笑顔で迎えてくれたのは「てっぺんテラス」を営む吉村光章さん、なぎささんご夫妻。

エンジニアとして活躍していた光章さん(みっちゃん)となぎささん(なぎちゃん)が山のてっぺんの小さな集落で手作りの山小屋オーベルジュを開いた思いとは?お二人の忙しくも充実した日々を覗かせていただきました。

(光章さん)50歳位までエンジニアとして働いていて、やりがいもあって仕事はとても楽しかったんです。全国を走り回っていました。そんな中、お世話になっていた病院の先生から自然派のリハビリテーション病院を作るからレストランを出さないかと誘われました。

20代の頃にアルバイトをしていた店で取っていた調理師免許がこんなところで役に立つなんて人生わからないものですね。結局そこで「ナチュラルガーデン自然の韻(うた)」というレストランを開くことになりました。

レストランの営業をする傍ら、定年後もずっと人と関わりながら、街の中よりもっと自由に活躍できる場所がないかと探すことにしました。休みの度に妻と一緒に米とお味噌と海苔を持って景色のいいところでご飯を炊いたり、そんな生活を4年ほど続けていた時に、この場所に出会いました。

(光章さん)ここに通い始めたのが2015年頃で、前に高校の先生がハーブや野草の研究をされていたようで、古家と畑の跡がありました。一年お試しで借りて過ごしてみると、冬の夜、なんだか頭が寒い。起きると枕元に雪が積もっていたり、ねずみが走り回っていたり・・・。

(なぎささん)昔から自然いっぱいの場所で、畑でハーブや無農薬の野菜を作るのが夢だったみたいです。主人は結構器用なんですよ。
(光章さん)僕たちはアイデアを出すのが妻。庭や畑、お客様の料理の実行は僕なんです。
(なぎささん)庭やお客様の料理、建物補修以外は私の担当です。好きで得意な方がやればそれでいいんじゃないかなと思っています。

(光章さん)もともとこのあたりは養蚕が盛んだった場所で、まわりは桑の木畑で、山頂は「土佐あかうし」が放牧されていて…。それぞれの世帯が自然と共存しながら暮らしているところに惹かれました。

そしてこの水ですね。山のてっぺんからコンコンと湧いて台風でも嵐でも絶対に濁らないんです。近くに住む90歳のおばあちゃんは僕の師匠なんですが「嫁に来て60年、一度も枯れたことがない」とおっしゃっています。

水、絶景、集落の皆さんの人柄、この3つが決め手だったと話す吉村ご夫妻。2017年、みっちゃん、なぎちゃんと呼び、山で生きる知恵や工夫を惜しみなく教えてくれる集落の人達と共にこの場所で暮らしていくことを決めました。

(光章さん)畑では、年間50種類の野菜と35種類のハーブを育てています。肥料から作る無農薬野菜は美味しいですよ!

集落のおばあちゃんから、月の中で種を蒔くのは「ツカの付く日」だけと教えてもらいました。「フツカ(2日)」「イツカ(5日)」「ハツカ(20日)」の3日間。根拠はわからないけど、ここの人はその教えをずっと守ってやってこられた。

昔の人は、蒔いた種がよく育つ日までちゃんとわかっていたのかもしれないですね。だから僕もできるだけその日に種まきをするようにしています。

現在は、1日2組限定のオーベルジュとして営業をしています。
(12月1日~3月初旬 までは冬季休業)

ロフトを備えたコテージ棟も、グランテラスと名付けた見晴らしの良いログハウスも全て周りの知恵を借りながら二人で手作りしたんだとか。ちょっと曲がった枝や大きな節も味わい深く、そのセンスの良さ、巧みさに驚くばかりです。

夕食は、自家製の手作りジュースから始まり、ガーデンで収穫した新鮮な野菜サラダ、前菜、「土佐あかうし」のサーロインステーキ、高知県産のお米とほうじ茶で炊き上げた茶粥、デザートと続きます。(写真はイメージ)

朝食は、レストランで焼きたての手作りドイツパン、オニオンスープ、朝採れ野菜のサラダ、フルーツ、目玉焼き&ベーコン、コーヒー。

「野菜が苦手な人でも、うちの野菜はペロッと完食されますね」とちょっと誇らしげな光章さん。

箸休めにテラスから外を眺めると山の連なりの向こうには太平洋。春には高知県の天然記念物にも指定されている「ひょうたん桜」で山の斜面が薄ピンクに染まるのだそう。

(光章さん)あと人生、これまでの倍生きられたらもっと面白くなるんじゃないかな笑。

そんな気概ですごしています。そして、これからもみなさんが羽根を休めに来られる場所でありたいと思っています。

自然体のお二人の気どらないもてなしが心地よく、心が少しずつ満たされていくような充足した時間が流れます。

手を動かし、やりたいことをどんどん形にしていく光章さん、夢を描くアイデアマンのなぎささん。ここには便利なものはないけれど、お二人の毎日は豊かでとってもクリエイティブ。

山の上の小さな集落に、訪れる人を温かく迎え入れてくれる素敵なご夫婦の宿がありました。

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【オーベルジュコテージてっぺん&グランテラス】
(宿泊)1日二組限定(朝夕の2食付き)※5日前までの完全予約制
(住所)高知県吾川郡仁淀川町寄合725-2
(電話)0889-34-2855
(休み)不定休 ※12月1日〜3月初旬頃は冬季休業
(SNS)https://www.instagram.com/teppen_terrace/
https://www.jalan.net/yad311869/

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