サステナブルな旅をしよう! 霧山茶園 中山 美佳さん

サステナブルな旅をしよう! 霧山茶園 中山 美佳さん

「サステナブル」という言葉を最近よく耳にするようになりました。一般的には「持続可能な」と訳され、もう少し分かりやすく言うと「ずっと続けていけること」となります。
仁淀川流域の6市町村には、1000年続く土佐和紙文化や、植物学者・牧野富太郎博士が愛した山、もちろん仁淀ブルーを満喫するアクティビティなど、他にもたくさんの体験プランがあります。

そのどれもが自然の恩恵をうけて成り立っているものばかりです。そして、そこには長い時間をかけて育まれた文化や自然を守りながら、魅力を伝え、残そうとしている人たちがいます。旅での出会いや体験を通して、持続可能な未来に少しだけ目を向けてみませんか。

普段使いのお茶を 暮らしの隅々に

長年、高知は「隠れたお茶どころ」として知られた産地でした。四万十川や仁淀川が流れる山あいで作られる品質の高い「土佐茶」は、風味に力強さをプラスする荒茶(ブレンド用)として、そのほとんどが静岡県へ出荷されてきました。

仁淀川に近い高岡郡日高村の「霧山茶園」もそのひとつ。東京ドーム5個分の広大な茶畑で作られるお茶の約8割を静岡に出荷していました。その後、時代の流れと共に「霧山茶」として自社ブランドの販売をスタート。県内にターゲットを絞り“普段使いのお茶”として「土佐茶」の魅力を発信し続けています。「霧山茶園」の中山 美佳さんにお話を伺いました。

(中山さん)この場所に5軒の農家が集まって茶畑を作ったのが昭和43年、お茶の景気がとてもよかった時代です。でも、2000年代にペットボトルが出てくるようになると徐々に出荷量が落ち始めました。

平成7年に5軒が2軒になったのを機に、私達は冬の農閑期を利用してブランディングやデザインの勉強をしながら自社製品の開発を進めていました。

そんな中、静岡で「静岡茶として販売をするなら、100%静岡産のお茶を使うこと」と原産地表示厳格化の動きがでてきて…。市場の価格がみるみる下がり、平成17年に「霧山茶」として自社ブランドの販売を本格的にスタートしたんです。

(中山さん)「土佐茶」の一番の特徴は、良く言えば力強さ、言い方を変えれば渋みの強さです。品質はとてもいいけれど、やはり単一畑のお茶だけでは全国の有名なお茶処には勝てません。

そこで、私達は県内消費にターゲットを絞り「普段使いのお茶」としてその美味しさを伝えていこうと決めました。「美味しいお茶を少しでも安く飲んでもらいたい」その一心で、仲卸を通さず、物産館の直売所や委託販売をしていただけるお店を拡げながらなんとか毎年右肩上がりでやっています。

-----------いずれお客さんになる子供たちに伝えていくこと

(中山さん)以前から小学生を対象に出前授業をしていました。そこで、急須を見たことがない小学生の多さにびっくり!みんな、「おばあちゃんの家にはある」って言うんです。静岡の大学生が急須を直火にかけたという新聞記事も目にしました。もうショックで…。

「この世代が10年後のお客さんになる、今のうちになんかせんといかんろ!」といても立ってもいられなくて。そこで当時、応接室だった今の場所を「研修室」にリフォームして、ワークショップができるようにしたんです。

(中山さん)現在は、焙烙(ほうろく)を使ってほうじ茶作り体験をやっています。美味しいお茶の淹れ方も伝えながら。コロナでストップしていましたが、生産農家だからこそできる茶摘み体験や釜炒り茶作りもやってみたい。

最近、娘が仕事を手伝ってくれるようになったので、世代交代ができれば、私は「土佐茶」の魅力や美味しさを伝えることに専念できるかなと楽しみにしています。

(中山さん)やりたいことは山程あります。設備を整えるのは大変ですがそれでもやらなきゃいけないと思っているのは、私達が昔ながらのお茶づくりを伝えられる最後の世代だと感じているからです。

幼い頃に、祖父にお茶を揉む手伝いをさせられたのが本当に嫌だったけど、今はそれを子供たちと一緒にやりたくてしようがないです笑。

-----------地域への恩返しの心が「土佐茶女子会」へ

(中山さん)山を造成して、この大きな茶畑が出来たのがいまから56年前。当時の写真や記録動画を見ると、本当に苦労があっただろうなと親世代の頑張りに頭が下がる思いがします。

また、経理をやっているとたくさんの人に支えてきていただいたことがよく分かる。お金で返すことはできないけど、体を動かしたり、一緒に考えたりすることで地域に恩返しができたらと思っています。幼稚園や保育園の遠足も大歓迎です。

そんな思いがあって発足したのが「土佐茶女子会」(正式名「土佐茶普及促進女性会議」)。最初はお茶農家に嫁いできた若いお嫁さん達の悩みを聞く飲み会が、勉強会となり、今では主婦だからこそのアイデアが詰まった商品開発をするまでになりました。

これからも私の経験を全て伝えたいと思っていますし、今の若い人はすごいですね!いつも感心するばっかり。どんどん新しいことをやってくれる。見ていて頼もしいです。

工場は機械化されどんどん自動化されていくけれど、便利さだけでない高知のお茶のこと、良さや魅力を若い世代に伝えていかなければと言う中山さん。

淹れ方ひとつでお茶はとても美味しくなることや、炒り方や産地によって味が違うことなど、体験や学びを通して、身近なお茶が、ペットボトルのお茶でさえ人の手によって大切に栽培され、作られていることに気付いてくれればと願います。

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【霧山茶園】
(住所)高知県高岡郡日高村下分382−23
(電話) 0889-24-4615
(営業時間)9:00~17:00

中山さんに教えてもらう「霧山茶」のワークショップはこちらから
https://www.kiricha.com/

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