サステナブルな旅をしよう! 土本観光果樹園 土本誠さん
「サステナブル」という言葉を最近よく耳にするようになりました。「持続可能な」と訳され、もう少し分かりやすく言うと「ずっと続けていけること」となります。
仁淀川流域の6市町村には、1000年続く土佐和紙文化や、植物学者・牧野富太郎博士が愛した山、もちろん仁淀ブルーを満喫するアクティビティなど、他にもたくさんの体験プランがあります。
そのどれもが自然の恩恵をうけて成り立っているものばかりです。そして、そこには長い時間をかけて育まれた文化や自然を守りながら、魅力を伝え、残そうとしている人たちがいます。旅での出会いや体験を通して、持続可能な未来に少しだけ目を向けてみませんか。
食べた人が元気になる そんなリンゴを作っていきたい
高知県佐川町は仁淀川の支流に開けた盆地で、昼夜の寒暖差を利用しお茶や果樹の栽培が盛んなエリアです。中でも佐川町で作られる「新高梨」は「梨の王様」と呼ばれ高知県を代表する特産品となっています。
その佐川町で梨とリンゴのもぎ取り体験ができる観光果樹園を営むのが、土本観光果樹園の土本誠さん。長年、化学肥料を一切使わない近自然農法を実践し、いち早くスマート農業への取り組みも始めました。忙しく手を動かす土本さんの足元を力強く走るのはスウェーデン製の芝刈り機です。
(土本さん)コロナ禍で、国がスマート農業を進める動きの中、国と町の補助金を活用し導入しました。これまでは、私が毎朝草刈機を運転して畑を整備していましたが時間もかかるし、ガソリンもたくさん使う。それが1号2号(土本さんの呼び方)がきてからは、草を刈って、充電が切れたら自分で充電器に戻って、また刈って、を24時間繰り返してくれるのでとても助かっています。動けなくなったときは携帯にメッセージが届くので救出に行きますが、それ以外はほったらかし。本当に働き者。
実は、最初は導入に乗り気ではなかったんですが、デザインを見て「かっこいい!」と思って笑。
お客さんにも大人気です。ガソリンを使わないので環境にもいいし、夜にはヘッドライトがモグラやウサギの被害を防いでくれます。
-----------果樹園について教えてください。
(土本さん)両親が鳥取に梨の勉強に行った際に、見せてもらった畑で真っ赤なリンゴがたわわに実っているのを見て感動し「リンゴをやろう!」となったと聞いています。
昭和57年に定植して5年、やっと収穫した自信作を市場に持っていくと、東北から届いたきれいなリンゴが並んでいて全く相手にしてもらえず持って帰ってきたそうです。「それならもぎたてを味わってもらおう」と昭和62年に観光果樹園に切り替え、現在では約9品種のリンゴを育てています。
(土本さん)うちのリンゴは収穫の1ヶ月前まで完全有袋栽培で育て、ミネラルをたっぷり浸透させ4ヶ月熟成・発酵させた堆肥を使っています。化学肥料は一切使っていません。1号と2号のおかげで、除草剤も使わずにすんでいます。
リンゴは皮と実の間が一番甘いんです。だから是非そこを食べてもらいたい。そのためにも、お客様に堂々と「皮ごとガブリと食べてください」と言えるリンゴ作りをしたいと思っています。
(土本さん)リンゴは気温の寒暖差で赤く色づく果物なので、実は、赤いりんごが美味しいとは限らないんです。例えば、スーパーに並ぶジョナゴールドって色は赤いけど、ちょっともさもさっとした食感のイメージがありませんか?
でも、9月上旬~中旬に樹上で完熟させたうちのジョナゴールドは、赤みはないですが、キリッと酸味があってサクサクしていて食べた人はその美味しさにビックリします。
それが本来の味なんですけど、知らない方が多い。そういうことを一つひとつ丁寧に伝えていくことも生産者の役割だと思うし、「高知でも美味しいリンゴ作ってます」って伝えたいですね。
------------長年の経験や技術が必要なリンゴ栽培。今後を見据え、新しい取り組みも始まっています
(土本さん)ジャムやドレッシングの加工品の他に、昨年からは新しい開発もスタートしています。そして今、試験的に植えているのが「高密植栽培」といって長野県や東北では主流になっている栽培方法です。
短いピッチで苗を植え枝を誘引することで、経験や技術をあまり必要とせず、高収量かつ、省エネ、低コストでリンゴが収穫できると言われています。昔ながらのリンゴの木ではなく、こういう形のりんご狩りも楽しいかもしれません。次の世代のことを考えて、この場所にあったベストを見極めていかなければならないですね。
(土本さん)ここは元々谷だった場所で、そこを山を削って埋めて畑にしました。そんな両親の頑張りがあって、今、リンゴ作りをしている自分がいる。
「りんごとは?親父やったら "ロマン" っていうかな? "ロマン" は恥ずかしいけど、近いものはあると思います。一生付き合っていくもの、そして、一生をかけるぐらい魅力的なもの」と土本さん。
情熱的に誠実に、食べた人が元気になる正直なリンゴを作り続けることと、笑顔あふれる果樹園であるために少し先の未来を見据え、土本さんの挑戦は続きます。
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【土本観光果樹園】
(住所)高知県高岡郡佐川町二ツ野1308
(電話)0889-22-0206
(営業時間)9:00~17:00
土本観光果樹園での梨とリンゴ狩り、リンゴジュース作り体験はこちら
https://oishii-ringo.jp/
https://www.jalan.net/kankou/spt_guide000000192170/
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